研究概要 |
本研究は,CAVE(CAVE Automatic Virtual Environment)に代表される没入型投影VR(Vitrual Reality)システムのための簡易なステレオ実画像の生成システムについて検討することを目的としている. 本年度の研究では,没入型投影システムにおける体験者とスクリーンの相対関係の違いによる奥行き知覚誤差の計測,体験者の注視方向にレンダリング負荷を集中する並列レンダリング手法の検討,および,多様な立体映像空間生成システムの構築に関して検討を行った. 奥行き知覚誤差の計測では,体験者とスクリーン位置が正対しない場合,次のような結果が得られた. 1.スクリーンに対する角度が大きい程,奥行き知覚誤差が大きくなる. 2.仮想物体の呈示距離が大きい程,奥行き知覚誤差も大きくなる. 3.スクリーンに対する角度が変化しても,呈示物体の中心の付近を最も近くに知覚し,基準から遠い呈示物体ほど遠く知覚する. 4.個人差が大きい存在する. 次に,体験者の注視方向にレンダリング負荷を集中する並列レンダリング手法の検討では,大型スクリーンを小領域に分割し,視線方向と各領域の描画速度の体験者に与える視覚的影響について評価実験を行った.視線方向周囲の高速描画領域の大きさや,周辺領域の描画速度の差による視覚的影響に対する主観的評価を行った.その結果,視野内に極端に低フレームレート領域が存在する場合,体験者にとって違和感を感じることが分かった.また,物体の運動速度や形状が大きい場合にも領域間の違和感が強く感じられることが分かった. 多様な立体映像空間生成システムの構築のために,多数の小型ディスプレイを用いることで大型ディスプレイシステムを構築する手法について検討も行った.
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