研究概要 |
本研究は,CAVE(CAVE Automatic Virtual Environment)に代表される没入型投影VR(Vitrual Reality)システムのための簡易なステレオ実画像の生成システムについて検討することを目的としている. 本年度の研究では,没入型投影システムにおける体験者とスクリーンの相対関係の違いによる奥行き知覚誤差の計測,および,その計測結果に基づいた奥行き知覚誤差の低減手法の検討を行なった. 体験者とスクリーンの相対関係の違いによる奥行き知覚誤差の計測では,120inchの大型ハードスクリーンに対して,視線方向および距離を変化させた場合の奥行き知覚誤差を計測した.7個の球をほぼ一列に並べたものを呈示物体として用いた.中心の球を基準とし,周囲6個の球の奥行きは,奥行き方向にランダムにずらしている.与えられた,7個の球を一列に並べる操作を被験者にしてもらい,最終的に得られた球の奥行き誤差を知覚誤差として計測した.計測の結果,スクリーンに対する角度が大きい程,奥行き知覚誤差が大きくなることが分かった. このような没入型ディスプレイ装置における奥行き知覚誤差の大きな要因としで焦点調節と両眼視差に含まれる情報の相違が挙げられる.そこで,没入型ディスプレイ装置と現実空間で大きな違いを生じる焦点調節の影響を視覚的ぼけ情報を用いることで低減する手法を提案した.視覚的ぼけ情報の導入には,被写界深度処理を観察者の視線方向変化に対応させることで実現した.被験者の主観評価実験を行なった結果,立体視に視覚的ぼけ情報を付加することで,高い現実感が得られることが示された. また,車両搭載型画像・距離センサから得られた膨大なレンジデータから,3次元都市空間を構築する手法の検討を行なった.
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