研究概要 |
本年度は暗号技術を用いた電子マネー・電子オークションシステムの設計と要素技術の解析を行なった。 ・入札者の匿名性を考慮した電子入札の条件を整理し、具体的システム設計を行なった。匿名性を満たしていないCachinの提案した2つのサーバーを用いたオークションプロトコルにおいてサーバー間の通信量の改善とサーバーの内部記録からの不正な情報取得を防止する改良を行った方式を提案した。さらに、その改良した方式に対してグループ署名という概念を用いることで匿名性を実現したオークションプロトコルを提案した。 ・懸賞金のついた有価証券・葉書の電子システムの分類を行ない、プラバシーを考慮したシステムを提案した。暗号技術のひとつであるブラインド署名を用いて,プライバシーを強化した。これは、既存の電子印紙システムを利用して,くじ番号とはがき送信者のアドレスを暗号化することにより,くじの番号と当選者との対応づけができないようにしたものである。 ・匿名性に関連してプライバシーの保護に利用できる暗号技術の分類と考察を行った。分類においては、プライバシー保護に関連する性質として機密性と証拠性、逆にプライバシー保護を弱める性質としてエスクロー、という暗号技術の性質による分類を行った。またそれぞれの性質をもった暗号技術の拡張としてその技術を複数の参加者に対しての技術へ拡張するグループ化、また対象のデータに対しての情報を得ることなく操作を行うブラインド化の二つの拡張も同時に考えた。また、この分類において既存の暗号技術では定義されていないグループブラインド暗号という暗号技術の定義を行い、その応用を考えた。
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