研究概要 |
初年度である今年度は主としてグラフ構造データマイニング手法の理論的枠組みを検討し,更に実問題に対する潜在的有効性検証の立場から活性部分分子構造同定プロトタイプシステムの構築を行った.第一に,グラフ構造データマイニング手法の原理構築木構造データマイニング手法開発の経験を踏まえ,計算機内の適切なグラフ構造データ表現形式の検討とその上での特徴的グラフパターン抽出の探索原理を検討した.第二に,グラフ構造データマイニング手法の背景調査計算理論の分野においては,グラフ構造マッチングアルゴリズムが提案されている.本研究は単なるマッチングではなく部分グラフ探索を必要とするため,直接適用は困難であるが過去の技術から取り入れ可能な要素の調査を行った.第三に,化学分野固有の過去の提案技術の中から取り入れ可能な技術要素の調査を行った.第四に,調査結果の反映した活性部分分子構造同定プロトタイプシステムの構築を行った.ここでは,上記の各検討結果及び調査結果を反映させ,理論面及び実用面から優れた原理の骨格に向けた原理の洗練を行った.そして,本原理を実装したプロトタイプシステムを構築を行った.最後に,活性部分分子構造同定プロトタイプシステムの評価として,発ガン性や変異原性を有する可能性のある化学物質の小規模データにつき活性を特徴づける部分分子構造の抽出性能の評価を行った.以上の結果,発ガン性や変異原性を有する化学物質の分子構造の中に,これらの性質を特徴付ける部分分子構造が発見され,提案手法の理論的枠組みが妥当であることが確認できた.
|