ヒューマンスキルのカオスダイナミクスを考慮した適応型インターフェースに関する研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12480092
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 和田 充雄 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90271650)
• 研究分担者: 横井 孝志 生命工学工業技術研究所, 主任研究官 ; 山口 明宏 福岡工業大学, 工学部, 講師 (60281789) ; 井上 純一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30311658) ; 高橋 昭彦 生命工学工業技術研究所, 主任研究官
• キーワード: ヒューマンスキル / バイオメカニカルカオス / 非ホロノミック系 / パルス結合ニューラルネットワーク / 適応型インターフェース / 音声カオス

研究概要

本年度は、以下の3課題について実施し、以下の成果を得た。
1.ヒューマンスキルに内在するバイオメカニカルカオスの計測評価
画像計測により身体動作による動きを計測し、各種意思伝達動作(バイバイなど)におけるカオス的ダイナミクスが内在することを明らかにした。さらに発話動作をとりあげ、母音発生時のデータから、カオス特性がクリアに見出されることを示した。これらにより、個別ユーザーに適応できるインターフェース応用可能性を示した。
2.バイオメカニカルカオスの動的情報処理の再構成
生体のカオスを再構成するためのパルス結合型ニューラルネットワークを用いてそのカオス的同期のメカニズムを解析した。特に視覚処理に見られるダイナミックな情報表現と処理についてパルス結合型ニューラルネットワークのクラスタリング能力について数理的解析を実施した。
3.動的処理を行う適応型ニューラルインターフェースの構成
人の巧妙な運動様式である歩行動作について、多リンクモデルを試作し、それらの中枢神経情報処理を模擬して歩行スキルの発現を試みた。さらに電動車椅子の非線形走行特性を記述し、モデル化して人に倣った操作のインターフェースに関する資料を得た。人が日常的に操作する機器には非ホロノミック性とよばれる複雑な挙動を示すものが多く、また人の動作そのものもカオス性を持つことから、いわばカオスでもってカオスを制する、ということができる。このため、本研究では、カオス探索、最適化の手法についても検討を進めている。

研究成果

• [文献書誌] 佐藤晶一,和田充雄: "身体動作の追跡情報を用いたユーザーモデル構築とインターフェースへの応用"第18回日本ロボット学会学術講演会予稿集. 18. 395-396 (2000)
• [文献書誌] A, Yamaguchi, N.Okumura and M.Wada: "Mutual information analysis of chaotically synchronized cluster in the network of spike response neurons"Proceedings of the 6th International Conference on Soft Computing (CDROM). 6. 515-521 (2000)
• [文献書誌] S.Dai, N.Toyota, T.Hirooka, A.Yamaguchi and M.Wada: "Mutual estimation of embedding parameters to analyze chaotic dynamics of speech sound in Japanese 5 vowels"Proceedings of the 6th International Conference on Soft Computing (CDROM). 6. 528-535 (2000)
• [文献書誌] T.Mikami, A.Yamaguchi and M.Wada: "Fast Annealing Schedule by Landscape Enhancing for Function Optimization"Proceedings of the 6th International Conference on Soft Computing (CDROM). 6. 605-610 (2000)
• [文献書誌] 冨澤淳,山口明宏,和田充雄: "PCNNによる視覚情報処理と動物体認識への応用"計測自動制御学会システム・情報部門シンポジウム2000講演論文集. 95-100 (2000)
• [文献書誌] M.Matsuura and M.Wada: "Formative Behavior Network for a Biped Robot; A Control System in Consideration of Motor Development"Proceedings of the 2000 IEEE International Workshop on Robot and Human Interactive Communication. 101-106 (2000)