研究概要 |
本年度の成果を以下の3つの題目について記す. 1.ヒューマンスキルに内在するバイオメカニカルカオスのダイナミクスの解析評価手法の構築 上腕運動におけるヒューマンスキルの計測及びその可操作度による評価を行った.これに基づき、内部モデル学習によってマニピュレータ制御へ適用し、これが人間的な動作が可能な福祉ロボットの実現にも有効であることを示した。 また歩行動作を対象にして,神経・身体・環境系の相互作用による歩容生成の過程をシミュレーションと実験ロボットにより評価した。この歩容はカオティックなリミットサイクルとして生成されており,環境の変化に対する適応性があることを明らかにした. 音声のインターフェース利用を目的として,複数話者を対象に連続音成中の音素におけるカオス性の存在解析を行った.最大Lyapunov指数を指標とした評価を行った結果,各母音,性別に応じた特有の値の偏りを持つことが判明した. 2.バイオメカニカルカオスの動的情報処理様式のニューラルシステムでの再構成技法の構築 第一次視覚野の神経情報処理のモデルであるパルス結合型ニューラルネットを対象に、その力学系を解析し,神経細胞による情報処理の根幹を成す同期集団形成における機構を明らかにした.また、パルス結合型ニューラルネットを用いて人工視覚システムを構築し、動物体の方向弁別、移動標識の認識への応用を図った。これらのシステムはロボットビジョンへの応用が期待できる。 3.パーソナルユーザーにあった情報処理様式を有する適応型インターフェースの構築 電動車椅子の非ホロノミック系としての動的挙動解析を行った.経路計画,運動学制御,動力学制御を統合的に扱い,障害物を回避し,滑らかな速度履歴で移動する制御則の構築を行った.さらに搭乗者と車椅子の相互作用による挙動特性の計測システム化,搭乗者の筋電位信号の制御への利用方策、身体特性の変化に対する適応制御の検討を進めた。
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