研究概要 |
2年計画の本研究の初年度となる今年度は,データ放送を利用したプッシュ型情報システムにおける,データ項目間の相関性を考慮した性能向上手法に関する研究を推進した.具体的には,研究代表者の塚本を中心として,データ項目間の相関性を考慮したサーバ側の放送プログラムのスケジューリングについて研究を行った.また,研究分担者の原を中心として,相関性を考慮したクライアント側での放送データのキャッシングについて研究を行った. 前者の成果として,クライアントが相関性をもつ複数のデータ項目に対して,同時にアクセス要求を発生する場合,および,時間間隔をおいてアクセス要求を発生する場合の両方について,効果的なスケジューリング方式を提案した.シミュレーション評価の結果より,提案方式がプッシュ型情報システムの平均応答時間を大幅に改善することを確認した. 後者の成果としては,各クライアントが各データに対するアクセス確率やデータ間の相関性を考慮して,自局のキャッシュ内のデータ項目を置き換えるキャッシング方式を提案した.シミュレーション評価によって,提案方式の有効性を確認した.さらに,データの受信時に,必要なデータを効率的にフィルタリングするための数学的基盤として,フィルタリングの関数的性質や,関数間の関係について考察を行った. これらの提案方式を実システム上に実装し,動作確認やプロトコルオーバヘッドなどを考慮した性能評価を行うために,システムのプロトタイプの設計を行った.また,本年度に交付された研究費によりノートパソコンを数台購入し,設計したプロトタイプシステムの実装を開始した. これらの研究成果を取りまとめたものは,国際学会の論文誌を始めとする様々な分野でその重要性が見とめられ,高い評価を受けている.
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