研究概要 |
計算機によって生成された仮想世界は,様々な種類の作業を自由に試行錯誤できるツールとして注目されてきている.仮想環境の構築と操作において,現実空間と同様の自然なインタフェースで仮想物体を操作でき,場合によっては仮想物体の操作に現実以上の自由度を待たせることが要求されている.本研究では,人の直感,感性,身体性,空間性を等を最大限に活用した柔軟な直接操作インタフェースを構築するため,オブジェクト指向マルチモーダルインタフェースを提案し,これを用いた仮想環境の構築と操作のためのシステムを試作し,評価する.これにより,次世代のユーザインタフェースの基盤技術確立を目指す. 本年は,操作対象には実体を持たせ,実際に操作している感覚を利用者に与えるオブジェクト指向インタフェースを,ブロックを用いて実現する方法を検討し,試作を開始した.試作したブロックは基本形状が一辺5cmの立方体であり,これを自由に組み合わせて様々な形状を作成することができる.各ブロックの内部にはプロセッサを搭載しており,ブロック間の通信を担当している.同時に,ブロックにはさまざまな入力センサや出力デバイスも搭載されており,これらを制御するのもプロセッサの役割である.ブロックを接続すると子ブロックには自動的に電源が供給され,同時に自分のブロックIDと接続面IDをブロードキャストにより送信する.ホストコンピュータは,これらの情報を用いてブロックの接続状況を管理し,ブロックの全体形状をリアルタイムで認識することができる.各ブロックには,各種の入力センサや出力デバイスが装備されている.どのブロックが接続されている時にどういう動作をさせるかといった入力と出力の間の因果関係は,ホストコンピュータ上のプログラムによって定義される.このようなブロックを試作し,諸特性を評価する実験を行った.
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