研究概要 |
本研究では,人の直感,感性,身体性,空間性を等を最大限に活用した柔軟な直接操作インタフェースを構築するため,オブジェクト指向マルチモーダルインタフェースを提案し,これを用いた仮想環境の構築と操作のためのシステムを試作し,評価する.これにより,次世代のユーザインタフェースの基盤技術確立を目指す. 本年は,対象物の属性を変化させる操作意図を直感的かつ容易に入力する手段を有し,かつ実世界のオブジェクトとその計算機内の表現(仮想世界表現)との間にコンシステンシーを確保し,さらに操作意図の入力装置とその結果を表示する出力装置を一体化して,因果関係が明快で直感的であるようなユーザインタフェースとして,ブロック型のオブジェクト指向のインタフェースを試作した.そのため,ハードウエアの設計・試作とともに,ブロック間の通信とホスト計算機との情報伝達を実現する通信システムを構築した.そしてそのブロックの基本特性を計測し,その特徴を生かしたアプリケーションを検討した.具体的には,本ブロック型オブジェクト指向インタフェースがブロックの作業内容の記録を自動的に残せることに着目し,空間認知・形状構築能力評価のためのユーザインタフェースを試作し,その可能性を実験によって検証した.この結果は,ACM CHI 2002にて発表した.また,実物体であるブロックを組み立てて計算機内に蓄えられた3次元物体データベースを検索する方法についても検討を開始した. さらに本年は,従来の数値データの入力によるモデリング手法にはなじまない樹木のような自然物の仮想物体を操作する方法について検討した.植物は,その構造が複雑であり,生長によって自らその形状を変化させるという特徴を有する.本年は,両手の機能を利き手と非利き手にわけ,人の直感と身体性,空間性を等を最大限に活用した柔軟な両手による直接操作マルチモーダルインタフェースを試作するとともに,このようなインタラクティブな操作に対応した植物の自立生長シミュレーションの方法の検討を始めた.
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