研究概要 |
視覚情報の獲得と視覚による制御が困難である盲人に対してGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)の操作やイメージ情報の認知を可能にすることを目的として、触覚提示機構を備えたマウスと触覚グラフィックディスプレイを支援機器とするパソコンシステムの有効性を追求してきた。 今年度はパソコンの標準インタフェースとなりつつあるUSB(ユニバーサル・シリアル・バス)から触覚マウスと触覚グラフィックディスプレイの駆動を可能とする機能を構築し動作させるようにした。これによって、ノート型パソコンでも目的とするシステムを動かすことができるようになった。続いて、利用者である盲人が単独でこのシステムを操作できるようにするため非GUI化に着手した。これには盲人でも使用可能である標準キーボードを使用することとして、同時に使用するであろうアプリケーションソフトとの競合が生じないようにテンキーと"Ctrl"および"Alt"キーの組み合わせによる操作機能配分に基づくソフトウエア設計を行った。その結果、画像の取り込みと表示の制御,画像取り込みモードの選択、表示の伸縮率、2値化のための閾値設定、濃淡反転表示の選択などの操作を非GUIベースで可能にした。 さらに、このシステムの有効性を解析するためGOMS(Goals, Operators, Methods, Selection Rules)モデルの導入に基づく考察に着手した。まず、盲人ユーザのパソコン操作様態の基本となるキーボードやマウス操作の手順分類を記述するモデルを構築した。続いて、実際にキーボードやマウスの操作情報を獲得するためのソフトウエアを導入した。この計測データをGOMSモデルに導入してユーザインタフェースの解析を進める予定である。
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