研究概要 |
GUI型OSをもつ最近のPCを盲人が利用できることを目的として触覚デバイス(触覚グラフィック・ディスプレイと触覚マウス)と音声デバイス(スクリーン・リーダ)を支援手段にする盲人用マルチメディア・パソコンのヒューマン・インタフェース機能の向上を図るための研究を行った。支援デバイスを重度視覚障害者が単独でも活用できるようにするため一般キーボードのテンキーを操作キーにするホット機能を搭載するシステムを完成させ,6名の重度視覚障害者を対象に評価実験を行うとともに考察を展開した。 実験評価からは,(1)およそ2時間程度の練習で触覚デバイスが単独使用できる,(2)単純パターンは表示領域の小さい触覚マウスでも経験を重ねれば認知できるようになる,(3)GUI操作が触覚デバイスの支援で可能になる,(4)視覚画面の単純パターンを触覚デバイスで探索できる,(5)視覚画面のレイアウ条件の探索と認知には音声デバイスを併用しても半数以上の実験参加者は困難であり,その他の支援機能が必要であることなどを明らかにした。 この実験結果を踏まえてインタフェースのさらなる向上化対策として,(1)触覚デバイス上のポインタ表示を一過性から持続性へ変更する,(2)一般のマウスやキーボードマウス機能を利用できるようにする,(3)ソフトウエア対処によりポインタ制御精度を簡単に選択できるようにする,(4)予め画面探索に適した固有機能を提供する,(5)表示面の周囲にスケールを配置して移動量と方向情報のガイドにすることなどを指摘できた。 この研究の総括として今後実施すべきことは,(1)ディジタイザ機能とマウス機能の融合、音声情報との組み合わせ方法など空間情報にかかわるインタフェースのあり方の検討,(2)高い表示密度を備えた小型触情報提示モジュールの開発,(3)既存のアプリケーションあるいはタスクに重点を絞り、その使用を念頭において研究を推進することである。
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