研究概要 |
本年度の大きな課題は「現実のアクティビティーの密度をどのように理論に取り入れるか」というものであった.これに関して今年度の成果といえるものは以下の2点である. 1.ネットワークのリンク上のあらゆる2地点で移動の起終点があるとした時,その移動についての距離分布と移動量分布に関しての理論はほとんど明らかとなった.そこでこれを用い,リンクに起終点分布の重みをつけることにより,一つの問題は解決されることとなった.従来の方法との比較等でやや残しているものもあるが,ほぼ目的を達している. 2.一様な直線を介した計算等に関しては,残念ながら理論的にやり残している点が多い.しかしながら,距離分布が正確に求められている点を利用し,平面に一様乱数を発生させ,この距離分布を理論と比較した上で,分布させた点にアクティビティーの重みをつけ,計算する方法を開発した. もう少し詳しく述べると,関東地方に100個の点を打ち,あらゆる2点間の距離分布をこれまでに得られている連続平面における厳密な分布とを比較すると,ほぼ同じ分布が得られることがわかる.これらの点を用い鉄道のネットワークを利用した時の所要時間分布を求め,鉄道の空間に果たしている役割を明確に示すことができた.次にこの点に人口密度のデータを入れることにより,現実のアクティビティーを入れることができた.
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