研究概要 |
戸建住宅の単位画地面積当たりの価格を分析することにより、隣接画地の規模による相互の有意な外部効果が見いだされた。その結果,(1)最小隣地規模と当該画地規模の比には2次関数的な効果が見られた。すなわち、単位価格はそれらがほぼ同規模の時に最大となる。このことは、戸建住宅用街区を画地割りする際に重要な示唆となる。(2)65m^2という規模は画地規模に対して重大な閾値となっている。65m^2未満の画地規模では、他の小規模な(72.35m^2未満)隣接画地に対して負の外部効果を与える。本研究の結果からも密集市街地における最低敷地規模規制のような規制の意義が実証的に示されたと言える。(3)画地規模が314.5m^2より小さい時に、最小隣地規模が130m^2より大きいということが正の外部効果を持っていた。この結果から、130m^2という敷地規模を望ましい標準的な敷地規模として考えることができる。これらの結果を正方形の敷地を2つに分割する問題に適用した.特に,敷地面積が165m^2および260m^2の場合に分割する大きな動機が存在する.また,経時的に総合価値が変化し,分割された場合の方が価値の逓減が早いことも示された. また,建物付き土地の価格に関するヘドニック価格モデルに基づき,敷地の規模および形状に着目して,住宅地改善の効果について分析した.以下の3つの場合を検討した:建設費を無視した純便益,道路敷設費用を考慮した場合,そして住宅の建設費も考慮した場合.費用を考慮した場合には,住宅地改善事業の成否には,最小敷地規模が大きく影響する.その最小敷地規模は,間口が大きい場合には純便益の関係式に,間口が小さい場合には最小規模もしくは最小奥行によって決まる.自己更新を誘導するために容積率を緩和しても,間口が小さい場合には,あまり有効でないことが判明した.
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