2年度めにあたる平成13年度は主として、戸建住宅の価格に影響を与える住環境要素についてその概念整理と測定方法について考察した。浅見(編著)(2001)では、住環境概念を安全性、保健性、利便性、快適性、持続可能性の5つの概念に分解し、さらにそれらを細項目に分解して、階層的に内容を整理した上で、それぞれの要素を適切に評価するための指標のあり方を整理して体系化することができた。さらに、評価指標の構造的な特質や、経済評価の手法と物理的な評価手法との違いを明確にすることができた。 また、宇都・浅見(2001)では、土地利用遷移確率に着目し、土地利用遷移が非線形な構造的変化を示す閾値を求めるという分析を行った。具体的には、周辺の土地利用傾向や土地の潜在的な価値を示す地価が特定の値を境にして、土地利用に与える影響度が異なってくるのではないかという連続でありながら、傾きの異なる折れ線のような遷移確率推定式を求め、閾値の前後で有意に傾きが異なるかどうかを統計的に調べた。その結果、特に住居系から商業系に土地利用が変わるという強遷移の現象については、周辺の遷移先土地利用比率や地価が特定の値を境に傾向を変えることを明らかにすることができた。 さらに、浅見・近藤(2001)では、地域イメージというブランド性を表現する指標として、建物名称に地名を用いる現象に着目し、行政区域を越えて建物名称に用いられやすい地名をよりブランド性がある地名と定義し、戸建住宅が卓越する住宅地域として世田谷区周辺を対象として、地名のブランド性の定量化モデルを構築した。その結果、実際にブランド性を示すと思われる(田園調布というような)地名が実際に高くランキングされるような手法を同定することができた。
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