次世代資産運用モデルの開発と実証分析

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12480105
• 研究機関: 東京工業大学
• 研究代表者: 今野 浩 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 教授 (10015969)
• 研究分担者: 宇野 毅明 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助手 (00302977) ; 水野 眞治 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 助教授 (90174036)
• キーワード: ポートフォリオ / 最適化 / リスク / 取引コスト / 倒産判別 / SDP / データマイニング / 大規模投資

研究概要

本年度の研究では、主に、取引コストを考慮したポートフォリオ最適化モデル、大規模国際分散投資モデルの構築、企業の倒産リスク判定法に分かれる。
1つ目の研究は、最適ポートフォリオの構築、及び再構築を行う際に、取引コストによるコストを考慮したモデルである。既存の研究では取引コストは取り扱いが難しいために無視されてきたが、本研究では、実際に用いられる取引コストを収益に加味してある。さらに、そのモデル上の問題を効率良く解く分枝限定法アルゴリズムを提案し、計算実験により、現実的な大きさの問題が短時間で2分程度の短時間で解けることを示した。
2つ目の研究は、国際分散投資を行う際の最適ポートフォリオを構築する方法である。国際投資では為替リスクと株・債権のリスク両方を考慮する必要があり、これが非線形計画問題となるため、これまでに効率的な解法は提案されていなかった。今回の研究により、この問題を線形計画問題として定式化することに成功し、そのため大規模な問題を解けるようになった。計算実験も行い、その有効性を検証した。
3つ目の倒産判別は、企業の経営指標からその企業の倒産確率を推定するものである。従来の判別分析を用いた方法とは異なり、最近脚光を浴びているデータマイニングの手法を取り入れることにより、より予測能力の高い方法を構築した。さらに、通常線形関数による分離を行うモデルが使われるところで、2次関数を用いた判別方法を用いることにより、指標と倒産確率の関係をより多く捕らえることができ、その結果既存の方法よりも良いと思われる推定法を提案することができた。

研究成果

• [文献書誌] Konno,H.and Wijayanayake,A.: "Portfolio Optimization Under D.C.Transaction Costs and Minimal Transaction Unit Constraints."Journal of Global Optimization. (採択済).
• [文献書誌] Konno,H.and Wijayanayake,A.: "Minimal Cost Index Tracking under Non-linear Transaction Costs and Minimal Transaction Unit Constraints"International J.of Theoretical and Applied Finance. (採択済).
• [文献書誌] Konno,H.and Wijayanayake,A.: "Portfolio optimization Problems under Concave Transaction Costs and Minimal Transaction Unit Constraints"Mathematical Programming. (採択済).
• [文献書誌] Konno,H.and Li,J.: "Applications of the Integrated Approach to International Portfolio Optimization"Asia-Pacific Financial Marckets.. 7. 121-144 (2000)
• [文献書誌] Konno,H.and Kobayashi,H.: "Failure Discremation and Rating of Enterprises by Semi-Definite programming"Asia-Pacific Financial Marckets. 7. 261-273 (2000)
• [文献書誌] Uno,T.and Yagiura,M.: "Fast Algorithms to Enumerate All Common Intenals of Two Permutations"Algorithmica. 26. 290-309 (2000)