研究概要 |
本年度は,遠隔介護支援システムに関して以下の研究開発を行った. (1)高齢者のためのモニタリングシステムを開発した.このシステムは,画像処理により部屋内の高齢者の位置および姿勢をリアルタイムに認識する.そして,位置および姿勢の時間経過に伴う変化から食事,服薬,睡眠などどのような行動が行われているのかを判別できる.本システムを用いて,毎日規則的に行われる行動の生活リズムを求めること,および生活リズムの異常,床に倒れるなどの突発的な異常の連続認識を可能にした.そして,突発的な異常が発生した場合には,遠隔地から高齢者の表情および呼吸を確認できるように遠隔操作ロボットを構築した.本ロボットは,圧電素子を高齢者の背中に当てることにより呼吸状態を測定できる. (2)高齢者が家庭内を自分で移動できるように支援するために手すりの効果を実験的に明らかにした.まず,取り付け高さおよび位置を任意に設定できる並行手すりおよび垂直手すりを開発した.そして,高齢者の歩行姿勢および手足の筋電位を評価尺度として廊下,居間,玄関などにおける手すりの効果を分析・比較した. (3)人工現実感(VR)を用いた作業域設計支援システムを開発した.本システムは高齢者が食事,就寝などの活動を自分で行えるように支援することを目的とする.台所での動作,寝台の整頓動作などをバーチャルリアリティを用いて体験できるシステム,および高齢者の作業姿勢の評価法を開発した.この装置を用いて,個々の高齢者の身体機能に適した流し台,家具などの寸法および配置を設計することを可能にした.
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