研究概要 |
本年度の研究実績は,以下の5点である. 1.航海船橋における人間の視覚機能特性に関する実験的検討 日中と薄明時の光環境の相違が,各種視覚機能特性(空間特性,時間特性,時空間特性,色知覚特性)に与える影響について実験的な検討を行った.その結果,色知覚特性としての色弁別機能に,著しい相違が見られることが確認された. 2.見張りにおける視探索パターンに関する実験的検討 航行中の船舶の航海船橋において,見張りにおける眼球運動の測定実験を行った.その結果,熟練航海士と非熟練者の視探索パターンの相違,および航行水域の交通環境における視探索パターンの相違が明らかになった. 3.操船者の行動分析 航海船橋において操船者の行動のビデオ観測を行い,行動分析手法を用いて解析を行った.その結果,航行水域の交通環境による操船者の行動特性が示された. 4.航行水域の印象評価 航行中の水域から操船者が受ける印象について,官能評価実験を行い,交通環境の相違とそこから受ける印象の相違について検討を行った. 5.見張りにおける視覚情報受容量に関する実験的検討 他船や航路標識など海上交通環境における視対象には,誘目性の高いものと低いものがある.そこで,属性が他と異なる対象をパターンに入れたときの視覚情報受容量(インフォメーション・キャパシティー)について,実験室での実験を通して明らかにした. 以上,本年度は船舶航行安全について検討する上での基礎的な資料を,実験により収集することを中心に研究を行った.
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