研究概要 |
本年度の研究実績の概要は,以下の3点である. 1.見張りにおける視探索パターンに関する実験的検討 航行中の船舶の航海船橋において,見張りにおける眼球運動の測定実験を行った.その結果,交通量の少ない広い水域(太平洋上)における熟練航海士と非熟練者の視探索パターンの相違,および交通量の少ない広い水域(太平洋上)と交通量の多い狭い水域(狭水道および港内)における熟練航海士の視探索ストラテジーの相違が明らかになった. (実験結果については,「人間工学」に投稿中.) 2.航行水域の印象評価 航行中の水域の景観から操船者が受ける印象について,官能評価実験を行った.その結果,航行中の水域の景観に対する印象の4つの評価側面(快適性,困難性,退屈性,活動性)が示され,それらを尺度としたときの代表的な航行視環境の印象の相違が示された. (実験結果について,日本航海学会第108回講演会にて発表.また,「人間工学」に投稿中.) 3.見張りにおける視覚情報受容量に関する実験的検討 他船や航路標識など海上交通環境における視対象には,誘目性の高いものと低いものがある.そこで,属性が他と異なる対象をパターンに入れたときの視覚情報受容能力(インフォメーション・キャパシティー,以下IC)について,実験室での実験を通して明らかにした.その結果,誘目性の異なる視対象が存在する場面においては,誘目性の均一な視対象で構成された場面と比較して,被験者のICは著しく低くなるということが確認された.
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