研究概要 |
合成開口レーダー(SAR)は,雲などの天候や昼夜の別などに影響されないマイクロ波を使った能動的センサである.本研究では,人工衛星や航空機に搭載したセンサからのSAR画像を用いて,地震被害を判読するための技術について研究を行っている.今年度は,兵庫県南部地震の人工衛星SAR画像を対象とした研究結果をまとめるとともに,1999年に相次いで発生したトルコ・コジャエリ地震と台湾集集地震の人工衛星SAR画像を入手し,非常に広範囲にわたる地盤変状や建物被害の判読の可能性について検討を行っている.また,1993年北海道南西沖地震による奥尻島の津波,火災,斜面崩壊の判読についても人工衛星SAR画像を入手し検討を開始した. 兵庫県南部地震については,ERS衛星によるSAR画像がどの程度被害判読に有効かについて検討を行った.その結果,地上分解能30mのERS衛星VV偏波強度の後方散乱係数が,地震被害による土地被覆の変化により,平均的には地震前後で変化する傾向があることが明らかになった. また,トルコ・コジャエリ地震のERS衛星VV偏波強度の後方散乱係数においても,建物倒壊の激しい地域や,海没地域で地震前後の変化が確認された.
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