濃尾地震における震裂波動線生成の解明

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12480110
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 福和 伸夫 名古屋大学, 先端技術共同研究センター, 教授 (20238520)
• 研究分担者: 山岡 耕春 名古屋大学, 地震火山観測研究センター, 助教授 (70183118) ; 中野 優 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (40314041) ; 飛田 潤 名古屋大学, 工学部, 助教授 (90217521) ; 馬場 干児 応用地質, 中部支社, 支社長(研究職) ; 佐藤 俊明 清水建設, 技術研究所, 主任研究員 ; 鈴木 康弘 愛知県立大学, 情報科学学部, 助教授 (70222065)
• キーワード: 濃尾地震 / 濃尾平野 / 地盤構造 / 地盤調査 / 活断層 / 強震観測 / 常時微動 / 強震動予測

研究概要

本研究は、濃尾地震において発生した震災の帯である「震裂波動線」の解明を目的としており、初年度の平成12年度は、濃尾地震および濃尾平野に関する多面的な資料収集と詳細な検討を行った。
濃尾地震に関する当時の様々な記録や研究・報告資料などを収集し、整理・検討を行った。また岐阜一宮線に関して、濃尾地震当時の観測・調査事実とその後の解釈、近年の活断層調査や濃尾地震震源モデルなどについて、関連した研究者も交えて検討を行った。震裂波動線と活断層や地下構造との対応の有無が焦点となるが、現状では既存資料の整合性は十分ではなく、当時・現在の調査法の特性や活断層に関する最新の知見も含めて検討を行っている。
既往の地盤データ(屈折法探査、深井戸、浅部ボーリング、PS検層、重力など)、愛知県濃尾平野地下構造調査委員会の調査資料(反射法・屈折法探査、深井戸、微動アレイなど)、常時微動や強震観測記録など、濃尾平野に関する資料の蓄積と相互比較検討を行った。地震基盤が深くなる平野西部の構造について既存資料やデータによる構造推定が食い違う傾向があり、平野のモデル化に関するさらなる検討が必要である。
震裂波動線に関連する岐阜県内の測線に強震計を並べて設置し、記録の収集を開始した。また今年度から稼働を始めた「大都市圏強震動総合観測ネットワークシステム」により、濃尾平野を中心とする東海3県で200地点におよぶ高密度オンライン観測点が確保され、平成12年10月6日鳥取県西部地震、10月31日三重県南部地震などをはじめとするいくつかの地震において、有用な記録群を蓄積した。これらの記録の分析から、濃尾平野内の地震動特性の分布や平野内の波動伝播性状について検討が進んでいる。

研究成果

• [文献書誌] 中野優,福和伸夫,飛田潤: "強震観測網のデータを用いた反射波による濃尾平野の深部構造の推定の試み"日本建築学会大会梗概集. Vol.B-2. 187-188 (2000)
• [文献書誌] 福和伸夫,飛田潤,中野優,高橋広人,飯田正憲,石田理永: "名古屋市の地盤・強震動・微動データのコンパイルと地盤震動性状区分"日本建築学会技術報告集. 第10号. 41-46 (2000)
• [文献書誌] 松澤宏,馬場干児,野崎京三: "既往資料に基づく濃尾平野の深部地盤構造の概要"地盤工学研究発表会講演集. 第35回. 2369-2370 (2000)
• [文献書誌] 野崎京三,松澤宏,馬場干児,岩本鋼司,志知龍一: "重力データに基づく堆積平野の3次元N層モデル解析の試み-濃尾平野の場合-"物理探査学会講演論文集. 第103回. 159-163 (2000)
• [文献書誌] Nakano,M.,Fukuwa,N.and Tobita,J.: "Regional Variation of Ground Motion in Nobi Plain, Japan, Based on Seismic Records,Microtremor and Geological Data"Proc.International Conference on Geotechnical & Geological Engineering. (CD-ROM). No.0645 (2000)
• [文献書誌] Tobita,J.,Fukuwa,N.and Nakano,M: "Estimation of Deep and Shallow Soil Structures using H/V Spectrum of Densely Measured Microtremor Records"Proc.International Conference on Geotechnical & Geological Engineering. (CD-ROM). No.0658 (2000)