研究概要 |
WT-3トカマク(R0=65cm, a=20cm, Bt(MAX)=1.75T, Ip(MAX)=150kA)のオーミック加熱プラズマにおける鋸歯状振動の崩壊過程について、トーラスの3箇所での小断面に設置した軟X線CTシステムの同時計測を行い、崩壊に伴う3次元熱流を追跡した。主な結果は以下のとおりである。 (1)安全係数qa=3-5のオーミック加熱プラズマにおいては、崩壊はm=1/n=1モードの不安定性が発達して開始した。3箇所の軟X線CT像において、中心部のホットコアは円形を保ったまま、3箇所とも等しい変位量でq=1面に押し付けられ、ほぼ同時に平坦化した。これは全磁気再結合による崩壊と推察される。 (2)安全係数qa=2.2-2.7のオーミック加熱プラズマにおいては、崩壊はトーラスの弱磁場側と強磁場側で大きく異なった様相を呈した。この場合もホットコアの変位は、最初は3箇所とも同じでありm=1/n=1のモード構造をとるが、ある段階で弱磁揚側の領域においてのみ急速に変位量が大きくなり飽和する。これに伴い、ホットコアの形も、円形から、縦長の楕円、さらには三日月型に変形する。これは弱磁場側においてホットコアが強くq=1面に押し付けられ変形したものと推察される。弱磁場側以外の領域でも変位と変形は進行するが、弱磁場側に較べて弱い。弱磁場側以外でのホットコアの軟X線輻射強度は、弱磁場側の変位が飽和した直後から減少が始まり、ホットコアが三目月に変形した段階では平坦化され、崩壊が完了する。これは弱磁場側のホットコアが強く強くq=1面に押し付けられる弱磁場側でのみ、局所的に磁気再結合が進行し、ホットコアの熱と粒子が外部に流出したことを示唆している。
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