研究課題/領域番号 |
12480125
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高木 郁二 京都大学, 工学研究科, 助教授 (20206717)
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研究分担者 |
東 邦夫 京都大学, 工学研究科, 教授 (30026017)
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キーワード | プラズマ対向壁 / 水素リサイクリング / 粒子反射 / 低エネルギー水素原子 / 飛行時間分析 / マクスウェル・ボルツマン分布 |
研究概要 |
核融今炉プラズマ対向壁における本素リサイクリング評価のための基礎研究として、プラズマから飛来する低エネルギー水素原子の速度分布と、その水素原子が金属表面で反射した後の速度分布を、飛行時間法(TOF)によって実験的に調べた。 水素リサイクリングが顕著な周辺プラズマにおいては、中性粒子が多く存在するため、一般的なTOF技術である電場によるバンチをスタート信号にすることはできない。また、中性粒子を帯電させて検出したストップ信号には、原子や分子などの様々な粒子が含まれてしまう。そこで、微小な開口部を持つ羽根を回転させ、光学的にスタート信号を取り出し、四重極質量分析計と二次電子増倍チャンネルを組み合わせたユニットで、目的とする種類の粒子のみによるストップ信号を取り出す、新しいTOFシステムを開発した。 このシステムにおいては、回転羽根のスリットが開いている時間が有限であるために、粒子の時間差にスリット開口時間が重畳するデータが得られる。そこで、コンボリューション法によって、データ元の粒子速度分布を求める解析手法を確立した。 以上の開発により、RFプラズマから飛来する単原子水素イオンの速度分布を測定した結果、平均自由行程が長い場合には、約1万度のマクスウェル・ボルツマン分布で近似できることが判った。RFプラズマは無電極放電のために、イオン温度を測定することが困難であるが、本研究によって開発したシステムを用いれば、測定ができることが示された。次に、プラズマから飛来する単原子水素イオンをステンレス鋼に反射させた後の速度分布を測定した結果、あまりエネルギーを失うこと無く反射されていることが判った。低エネルギー領域における反射データは僅少であり、貴重なデータを得ることができた。 最終年度である来年度は、引き続き上記のエネルギー反射に関する実験を系統的に行い、昨年度に得られた粒子反射の結果と併せて考察して、低エネルギー水素原子の反射メカニズムを明らかにする予定である。
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