研究課題/領域番号 |
12480131
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
直井 勝彦 東京農工大学, 工学部, 教授 (70192664)
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研究分担者 |
宇恵 誠 三菱化学株式会社, 筑波研究所, 主任研究員
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キーワード | リチウム金属 / イミド / 固体電解質界面 / ランタノイド / リチウム合金 / ネットワーク状高分子錯体膜 / トリアゾール / 二次電池負極材料 |
研究概要 |
リチウム金属負極の実用化には電解液との副反応による不活性化を抑制し、リチウム析出溶解過程を高効率化する表面膜を設計・コントロールすることが要求される。そこで新規表面膜として新たに、有機分子と金属イオンがネットワーク化した、高分子錯体膜を設計した。 1.イミド系支持電解質にランタノイド系の金属塩を添加することでこれらの錯体を形成させ、アニオンの電極上での捕捉効果の向上、フツ素のより素早い供与による皮膜修復効果が期待でき、また配位子であるイミドアニオン同士がラジカルを生じカップリングすることでネットワーク化し有機表面膜を形成させるアプローチを提案した。分光学的評価から表面には有機膜が存在し、SEI内部にはEuが存在することが明らかになり、インピーダンス測定の挙動からリチウムイオン伝導牲を向上する可能性が示差された。以上のことから、Euによる有機/無機複合表面膜を形成していることが示され、サイクル効率が17%向上した。 2.リチウムと強い吸着性をもつ複素環式化合物の中から、三つの窒素原子上で負電荷が非局在化するベンゾトリアゾレートを合成した。これにより金属イオンと配位結合することで、架橋構造による二次元被覆が可能となる。そして核となる金属イオンには、錯形成能の高い銅イオンを用いて高分子錯体表面膜の構築を試みた。添加系の表面膜は、低抵抗で充放電時においても最表面の有機膜により安定に存在することがわかった。この有機膜は[Cu(I)-BTA-]_n高分子錯体膜(分子量4569gmol^<-1>)であり、電気化学的に生成することがわかった。この高分子錯体膜は分子間に強い相互作用が働くため、均一で緻密な有機膜を形成する。このため電解液との反応による化学的な劣化を抑制し、充放電時の形状変化にも膜が剥離することなく安定な保護膜として機能したと考えられる。充放電試験を行なった結果、平均サイクル効率が無添加系(69%)に対して添加系(80%)と、11%高い値を示しリチウム金属負極が高効率化された。
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