研究概要 |
本年度は昨年度までのシミュレーション結果に基づき,ループ管路の実験装置の設計ならびに製作を行った.しかし,圧力波発生装置は試作を行ったが改良の余地があり現在設計を検討中である.これと平行して,ループ管路内の伝播を想定して温度分布が管路に沿って周期的に変動する場合のシミュレーションを行い,パルス波のエネルギー増幅が理論的に可能であることを確認した.特に,管路内に温度勾配が正の箇所に平板を挿入し,実質的に管の水力半径を小さくすると増幅効果が増加することが定量的に求められた.これら結果の一部は,モスクワ大学で開催された第16回非線形音響シンポジウムで発表した. 一方,従来から使用している直管の長さを長くし,試作した圧力波発生装置を用いて音響孤立波の発生を行い,理論解析の結果と比較検討した.この結果,シミュレーションは実験をよく再現することが分かった.この結果については近く論文に纏める予定である. さらに,定在波型の音響式熱機関に用いられる,衝撃波から開放された大振幅圧力波の発生について理論解析を完成させ,現在結果をアメリカ音響学会誌に投稿中である.この研究の知見により,最大どの程度の圧力波が発生可能であるか予想できるので,現在新しい実験装置の設計を行っている.
|