研究概要 |
本研究の目的は、非常に重要な長寿命核廃棄物であるTc-99及びI-129の中性子捕獲断面積と捕獲ガンマ線スペクトルを10〜600keVの入射中性子エネルギー領域で精度良く同時に測定し、既に我々が測定した19安定核分裂生成物および長寿命マイナー・アクチニドのNp-237と共に測定結果を理論解析することにより、高速中性子捕獲反応機構を解明することである。本研究期間において、以下の成果を得た。 1 Tc-99およびI-129についての測定 東京工業大学原子炉工学研究所に設置されているペレトロン加速器から得られる1.5ナノ秒パルス陽子ビームによる^7Li(p, n)^7Be反応で発生するパルスkeV中性子を用い、中性子飛行時間法を採用し、中性子捕獲反応から発生する即発ガンマ線を高感度ガンマ線検出装置で測定した。その結果、10〜600keVの入射中性子エネルギー領域で、Tc-99の捕獲断面積については誤差約5%、I-129については誤差約10%で得ることができた。また、捕獲ガンマ線スペクトルについては、Tc-99およびI-129ともに世界で初めて得ることができた。 2 測定結果の理論解析 原子核反応における統計模型に基づいた計算コードを用いて、これまでの他核種の測定結果と共に、Tc-99およびI-129の捕獲断面積と捕獲ガンマ線スペクトルを同時に解析した。その結果、捕獲ガンマ線スペクトルの高エネルギー部分および対応する低エネルギー部分を除いて、統計模型による計算で捕獲断面積および捕獲ガンマ線スペクトルともに再現することができた。このことから、Tc-99およびI-129の高速中性子捕獲反応の主要部分は統計模型で説明できることが分かった。
|