研究課題/領域番号 |
12480140
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
静間 清 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10127657)
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研究分担者 |
小島 康明 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80314730)
遠藤 暁 広島大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90243609)
星 正治 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 教授 (50099090)
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キーワード | Neutron transport / Elastic cross section / Neutron / MCNP / Neutron dosimetry / A-bomb / DS86 / Atomic Bomb |
研究概要 |
中性子線の人体リスクは広島・長崎の原爆被爆生存者の受けた放射線量(線量体系DS86)が基礎となっている。この線量体系は1986年にまとめられたが、DS86には未解決の問題がある。我々のグループは、被爆試料中に誘導された^<152>Eu、^<60>Co残留放射能からDS86中性子束にもとづく放射化量の計算値と実測データの間に系統的なずれがあることを示した。この系統的なずれの理由を明らかにする事は線量評価、また現行の放射線リスク評価において重要、かつ緊急を要する課題である。DS86の中性子輸送計算のコードと同等の性能を持つMCNPコードは既にベンチマークテストが行われており、十分な精度が確認されている。しかしながら、入力に用いられる中性子断面積、特に空気組成である窒素、酸素の微分断面積は前方側において実験データが無く計算値により外挿されている。本研究では、実験データの無い窒素、酸素の前方微分断面積を測定し、輸送計算の結果への影響を調べることが目的である。 本研究年度においては、データ収集システムとして導入したCAMACシステムを動作させるためのプログラムを作成し、カスケードγ線を用いてデータ収集システムの動作特性評価を行った。その結果、データ収集システムは正常に動作していることが確認された。また、昨年行った実験セットアップ決定のためのモンテカルロ計算およぴ収集した基礎データを元に実験を行った。データ収集は開発したシステムを用い、アクティブターゲットとしてプラスティックシンチレーションカウンターを使用し、シンチレータ中で起こるn+H->n+Hの弾性散乱を測定した。その結果、運動学によって期待されるエネルギー領域に、弾性散乱中性子と思われる事象が観測されたが、散乱熱中性子束が予想より多かったため、熱中性子の偶発同時計数に埋もれ精度が上げられなかった。次年度に、この部分の改良を行い。本実験を行う予定である。
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