研究課題/領域番号 |
12480142
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
鷲尾 方一 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 教授 (70158608)
|
研究分担者 |
柏木 茂 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 講師 (60329133)
濱 義昌 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 教授 (40063680)
|
キーワード | 逆コンプトン散乱 / X線 / 電子ビーム / レーザー / 高周波電子銃 |
研究概要 |
本研究では、数MeVのエネルギーを持つ高品質電子ビームとハイパワーレーザーとの逆コンプトン散乱プロセスを高精度に制御し、高度化することを目的にしている。また、逆コンプトン散乱により発生したX線のエネルギー・角度分布、パルス長、輝度を高精度に測定し、理論計算等と比較することにより散乱過程の高度化をはかるのに必要なパラメータやX線発生装置に必要な安定度や性能などを明確にする。 平成12年度は早稲田大学理工学総合研究センター喜久井町キャンパスにおいて、X線発生実験に必要な装置の構築を行った。高品質電子ビームを発生するための光陰極RF電子銃は、製作及び高エネルギー加速器研究機構(KEK)での試験加速実験を終え、昨年11月に本研究室に設置を完了した。KEKでの試験実験では、電子ビームを約2.8MeVまで加速し、エミッタンス・エネルギー幅などの診断を行った。この診断結果より、逆コンプトン散乱によるX線生成に必要な高品質の電子ビームが光陰極RF電子銃により発生可能であることが確認できた。一方で、RF電子銃用と衝突用に用いるNd:YLFレーザーのSeed光の時間揺らぎ・振幅揺らぎを時間領域復調法を用いて測定した。この測定より、基準RF信号に対するレーザー光の時間揺らぎは1ピコ秒以下であり、衝突実験に必要な同期精度を十分満足するものであった。また、振幅揺らぎについては放射線あるいは電磁ノイズにより、数パーセントの揺らぎがある事が分かった。今後、揺らぎの原因を明確にし適切なシールドをレーザー本体に施す予定である。 平成13年度には、電子ビームとレーザー光の衝突実験を実際に行うと共に、パルスX線の測定システムの構築を行っていく。さらに、平成14年度には電子ビームの高品質化およびシステム全体の安定化を行い、実験全体の高精度化および信頼性を高める。
|