研究課題/領域番号 |
12480144
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
成田 尚史 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助手 (50250501)
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研究分担者 |
大田 啓一 名古屋大学, 地球水環境研究センター, 助教授 (80022250)
田上 英一郎 名古屋大学, 大学院・環境研究科, 助教授 (50133129)
渡辺 豊 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (90333640)
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キーワード | 泥炭層 / 気候変動 / インドネシア / 花粉 / エレメンタルカーボン / 森林火災 / 同位体 / 乾燥化 |
研究概要 |
熱帯域での気候変動の記録は、温帯や寒帯に比較してその知見は非常に限られている。特に、陸域での環境変動の高時間分解能の記録は比較的少ない。本研究では、泥炭層及び木に記録されている気候変動のプロキシを分析して経年変動から100年周期変動を調べ、過去のインドネシア周辺の気候変動の再現とその変動要因の解析を行うことを目的としている。 本年度は、インドネシア西ジャワ島に位置するラワダナウ湖泥炭堆積層の柱状試料の分析を継続し行ってきた。また、スベリー島の熱帯林で採取された肉眼でTree Ringが確認できたマングローブのセルロースの放射性炭素及び炭素水素酸素安定同位体の分析を北大低温研中塚武氏の協力を得て行ってきた。ラワダナウ湖泥炭堆積層の柱状試料に関しては、10層準でC-14年代が得られ、試料中部(208.8cm)の年代がBP4020±360yrであることが明らかになった。また、約180cm深のこの地域の乾燥指標になると考えられる森林火災起源の元素態炭素の極大値は、BP3190yryrに相当することがわかった。今後、ピレン類、炭素窒素同位体の結果とあわせ、解析を進めていく。マングローブのTree ringに関しては、ミクロトームで0.2mmの厚さに241サンプル(48.2mm)を切り出し、化学処理して純粋なセルロースを抽出し、炭素酸素同位体を測定した。セルロースの酸素同位体比は、48,2mmの間で10数回の周期的な変動が認められた。また、炭素同位体比にも規則的な微細な変動が認められた。現在C-14の測定が完了していないので、詳しい解析が行えないが、酸素炭素同位体比に認められた変動は、この地域の環境変化と密接に関係した変動である可能性もあり、熱帯雨林に生息する樹木を用いた過去の環境復元の可能性のきっかけを与えてくれる可能性がある。
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