研究課題/領域番号 |
12480146
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
近藤 昭彦 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 助教授 (30201495)
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研究分担者 |
佐倉 保夫 千葉大学, 理学部, 教授 (70153947)
唐 常源 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (80251198)
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キーワード | 中国 / 華北平原 / 水問題 / フラックス / リモートセンシング / NDVI / 小麦 / コーン |
研究概要 |
中国、華北(河北)平原の水問題については、それが世界の食糧安全保障に影響を及ぼすとの指摘もあることから、多方面で取り上げられている。代表的な問題は黄河の断水、地下水位の低下、土壌の塩性化であるが、これらの現状について現地で聞き取りによる実態把握を行った。 2000年度は、6月までは記録的な旱魃であったが、黄河の断水は例年の半分であった。これは取水規制を強化したためであるが、"断水"問題が人為的な問題であることも浮き彫りになった。表流水の不足による地下水の取水については現地調査により実態の把握を行なった。塩性化については文献調査、衛星による植生モニタリングの結果、等を総合することにより、華北平原の地形配列によって生じている地下水流動系のあり方が塩性化地域の分布を決めており、それが穀物生産高に影響を与えていることを明らかにした。 水循環の素過程の理解のために、北緯38度線に沿って位置する太行山(山地)、楽城(山麓平原)、南皮(低地地域)においてフラックス観測を継続して行った。楽城ではTDRと自動テンシオメーターによる地中水観測を開始した。同時に千葉大学受信のNOAA衛星によるモニタリングも同時に行った。 その結果、華北平原の代表的な作物である冬小麦とコーンのフラックスの季節変化の特性を明らかにすることができた。例えば、楽城では麦の生長に伴い、ボーエン比が小さくなる過程を捉えることができた。同時に観測した衛星データからは潜熱フラックスと植生指標(NDVI)の季節変化が極めて良く一致することを明らかにし、衛星データからフラックスを推定する基礎的知見を得た。また、それらの季節変化はLAIの変化とも良く一致しており、広域を対象としたフラックス、バイオマス等の推定に対して基礎的成果を挙げることができた。
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