研究課題
水問題に悩む中国の穀倉地帯、華北平原の北緯38度線上に配置した三ケ所の観測所でフラックス(蒸発散量)の観測を継続して行った。平原西部、石家庄市近郊の欒城観測所ではフラックスに加えて、浸透および分光反射率の観測を行った。平原の典型的な作物である冬小麦とコーンについては播種から収穫までの熱収支の日変化、季節変化を得ることができた。熱収支に対する潅漑の影響については潅漑前後の熱収支の違いを明らかにするとともに、水条件を変化させた実験プロットにおいて土壌水分と気孔抵抗の観測を行った。その結果、水不足により蒸散が抑制される現象を捉えることができた。土壌水分と群落抵抗の関係については、有効土壌水分量(圃場容水量とシオレ点の間の比)が0.5を下回ると群落抵抗がリニアーに低下することが明らかとなった。この関係は作物の生育ステージによって異なったが、土壌水分により半乾燥地特有の蒸発抑制効果をモデル化することができることを示す。観測結果の広域化についてはランドサットTMデータを入手し、解析を開始した。衛星データから地表面の乾湿を推定し、フラックス推定モデルに組み込むことによって広域のフラックス分布図が作成が可能になるので、最終年度に向けて解析を急いでいる。
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