研究課題/領域番号 |
12480147
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 良 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40011762)
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研究分担者 |
徳山 英一 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10107451)
荻原 成騎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50214044)
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143366)
廣木 義久 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (80273746)
芦 寿一郎 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (40251409)
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キーワード | ガスハイドレート / 南海トラフ / 塩分濃度 / 酸素同位体組成 / 永久凍士 |
研究概要 |
1,前年度に引き続き、南海トラフのガスハイドレート掘削調査で得られた水試料について化学分析をおこない、部分的な閉鎖系でガスハイドレートの生成分解が進行していることを確認した。 2,南海トラフのデータと比較するため、堆積物の性質、水深、地質構造などが似通っている、南シナ海でえられた掘削試料について、間隙水の分析を行った。この海域では明瞭なガスハイドレートの存在は確認されていない。間隙水の酸素同位体組成は、浅部で異常は変動を示した。この層準はハイドレートとは無関係であり、同位体異常は古海洋環境の変動を記録するものと解釈される。塩分濃度も強い負の異常を示した。この層準はハイドレート分布より深く、塩分異常をハイドレート分解に帰すことは出来ない。陸地からの淡水の滲入の可能性があるが、今後の検討が必要である。 3,海域のハイドレートと永久凍土域のハイドレートの生成分解挙動、ガスの集積メカニズムを比較するため、カナダ、北西準州のイヌビックでの掘削に参加し、試料を採取した。ここでは、約300メートルの非常に良く集積したガスハイドレート層が発達し、分散タイプのハイドレートが多い海域と対象をなす。調査、サンプリングは終わったばかりであり、まだデータは出ていないが、間隙水採取作業の中で、ガスハイドレートを含まない堆積物の含水率が極めて低いことが分かった。このことは、基本的に閉鎖系である永久凍土のハイドレート鉱床では、水の不足のためにハイドレート生成が阻害される可能性があることを示唆する。
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