研究課題/領域番号 |
12480150
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
杉山 雅人 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (10179179)
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研究分担者 |
酒井 敏 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (30144299)
横田 喜一郎 滋賀県琵琶湖研究所, 主任研究員 (40250253)
堀 智孝 京都大学, 人間環境学研究科, 教授 (40108981)
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キーワード | 都市水域 / 環境微量有機物質 / 輸送・除去モデル / ノニルフェノール / 陰イオン界面活性剤 / 琵琶湖水系 / 沈降粒子 / 懸濁物質 |
研究概要 |
当初の計画に沿って、人為有機物質の中から陰イオン界面滑性剤とノニルフェノールを取り上げ、プランクトン、懸濁粒子,沈降粒子,堆積物を採取・分析して、琵琶湖とその流出入河川でのこれら物質の動態と鉛直輸送について検討した。 陰イオン界面活性剤は、着色有機試薬であるエチルバイオレットと反応して生じるイオン対を有機相へ抽出して、分光光度計を用いてその吸光度を測定した。固体試料については超音波抽出した後、抽出溶媒を水に置換して上記の操作を施した。この分析法を用いて環境試料を測定した結果、以下のことが結論付けられた。I)吸着除去過程は琵琶湖より河川の方が卓越していた。II)陰イオン界面活性剤の濃度及び量は高水温期で低く、低水温期では高いという顕著な季節変化を示した。これは主に季節による微生物の活性に起因すると考えられた。III)陰イオン界面活介剤の吸着除去過程には、固体粒子中の有機炭素含量及び活性をもつクロロフィルa量が関係している可能性があった。 ノニルフェノールは超音波抽出、固相抽出の操作を施した後、高速液体クロマトグラフ蛍光検出器を用いて測定した。この分析法を用いて環境試料を測定した結果、以下のことが結論付けられた。I)琵琶湖及び河川域においては、ノニルフェノールは底生生物に毒性を示す濃度と同程度もしくは1桁低い濃度であった。II)懸濁粒子中のノニルフェノールの濃度は9月に高く、3月に低いという顕著な季節変化を示した。この季節変化は季節による微生物の活性に起因すると考えられた。III)ノニルフェノールの吸着除去過程には、固体粒子中の有機炭素及び活性をもつクロロフィルaが関係している可能性があった。
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