研究課題/領域番号 |
12480152
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境影響評価(含放射線生物学)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山本 和生 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (20093536)
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研究分担者 |
鳴海 一成 日本原子力研究所, イオンビーム生物応用研究部・バイオ技術研究室, 副主任研究員
ISSAY Narumi Takasaki Radiation Chemistry Research Establishment, Japan Atomic Energy Research Institute, Principal Investigator
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | Deinococcus radiodurans / DNA2本鎖切断 / DNA損傷の修復 / 環境適応 / 放射線耐性 / ゲノム構造 / 5-フルオロウラシル抵抗性 / ゲノム不安定性 |
研究概要 |
真正細菌Deinococcus radioduransは、放射線滅菌した肉の缶詰の中から1956年に見つかった微生物で、放射線に抵抗性の細菌の一つである。D. radioduransのD37は約6kGyであり、この場合DNAには200個の2本鎖切断、3000個の1本鎖切断、1000個の塩基損傷ができている。D. radioduransの放射線抵抗性機構を明らかにすることは、DNA修復機構を明らかにするだけでなく、D. radioduransの進化や環境適応の分子機構を明らかにすることにつながる問題である。 D. radiodurans放射線耐性の仕組みは、2つの立場から説明されている。DNAの組換えに関わる遺伝子産物が高い能力を持っているから耐性になっているという考えと、放射線耐性を付与する新規の遺伝子が存在するという考えである。本研究では、1)D. radioduransのゲノム構造と放射線耐性との関係を明らかにする、2)同定した放射線耐性遺伝子について、遺伝学的、生化学的解析を加え、その作用の仕組みを明らかにする、の2点について研究しD. radioduransの放射線耐性機構ひいては生存戦略を明らかにすることを研究目的とした。本研究の結果、1)細胞当たり3個以上の染色体が存在すること、2)大腸菌のrecA、lexA、uvrA遺伝子homologがあるほかに、全く新しい概念の放射線耐性遺伝子を複数持っていること、3)DNA損傷の修復に関して、4000グレイの放射線で、約200個のDNA2本鎖切断が生じるが、約4時間で完全に元通りに修復されること、この修復にはrecA遺伝子のほかに新規遺伝子が必要なこと、DNA損傷に依存して誘導される遺伝子発現が必要なこと、またこの過程にはlexA遺伝子は関与しないこと、4)5-フルオロウラシル抵抗性を指標にすると、野生株に比べて、recA欠損株では約1000倍の高い突然変異率を示し、欠失などのゲノム不安定性の変異を通常はrecA遺伝子が防御していることを明らかにした。
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