オメプラゾール(OP)によるCYP1A1の誘導発現は、Ahレセプターのリガンド非依存性活性化によるものであることを明らかにしてきた。OPからのシグナルによる、Ahレセプターを活性化する新しい経路に関与する遺伝子座を調べるため、マウス-ヒト融合細胞を用いたReverse FISHを行った。この方法により、ヒト染色体10番短腕が共通に染色されることから、そこにオメプラゾール感受性遺伝子(OPS)が存在することが明らかとなった。 さらに詳細なマッピングを行うため、STSの情報をもとにOPS領域を狭めていくことにより10p13および10p11.2の領域が同定された。この領域に存在している遺伝子は、10p13では11遺伝子が、10p11.2では15遺伝子が存在することが推定されている。これらすべての遺伝子の発現を、親株のHepG2細胞、融合細胞、ラディエーションハイブリッド細胞を用いて検討し、10p13では8遺伝子、10p11.2では6遺伝子にOPS遺伝子候補として絞られた。 候補遺伝子として絞られた14遺伝子のcDNAを全てクローニングし、発現ベクターに組み込み、マウスHepa-1細胞にCyp1a1遺伝子5'調節領域をルシフェラーゼと繋いだレポーター遺伝子を同時にトランスフェクションしたところ、CREM遺伝子がレポーター遺伝子の発現を顕著に上昇させた。現在、CREM遺伝子が作用するCyp1a1調節領域の配列を同定しているところである。
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