研究課題/領域番号 |
12480154
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
熊谷 忠 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (90089805)
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研究分担者 |
日出間 純 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (20250855)
山本 和生 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 教授 (20093536)
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キーワード | 紫外線B / イネ / 光修復(回復)酵素 / 光修復(回復)酵素遺伝子 / シクロブタンピリミジンダイマー / 紫外線防御機構 |
研究概要 |
以下に平成13年度の課題とその成果について記す。 (1)紫外線抵抗性・感受性品種のCPD光修復酵素遺伝子のクローニング--イネ紫外線抵抗性品種ササニシキのcDNAから、光修復酵素をコードする遺伝子のクローニングに世界で初めて成功し、光修復酵素遺伝子の全塩基配列、並びに推定アミノ酸配列を決定した(投稿準備中)。さらに、感受性品種農林1号の全塩基配列も決定し、2品種間での推定アミノ酸配列を比較したところ、126番目のアミノ酸残基がグルタミン、感受性の2品種ではアルギニンであることが分かり、この1アミノ酸の違いから酵素活性に違いが生じている可能性が考えられた。なお、本研究成果については、現在特許出願中(特願2001-320138)である。 (2)抵抗性品種ササニシキ、および感受性品種農林1号の光修復酵素特性の生化学的・分光学的な解析---ササニシキからクローニングした遺伝子を、光修復活性を欠損している大腸菌を用いて、GST-fusion系で大量発現させてタンパク質を精製したところ、シクロブタン型ピリミジンダイマーを特異的に修復する活性を有していることを確認した。本酵素の吸収スペクトル、および蛍光スペクトルを測定した結果、本酵素が持つ2つの光受容体の一つはFADであることがわかった。なお、もう一つの光受容体の同定はできなかった。現在、農林1号からクローニングした遺伝子の遺伝子産物の精製を行っており、精製され次第、光受容体の同定、および酵素活性の比較を行う予定である。またさらに、本酵素の光活性誘導に関する光調節反応機構、および本酵素の細胞・組織内局在性を解析するために、精製した遺伝子産物に対する抗体を作製している。 (3)光修復酵素遺伝子組替え体イネ品種の作出---ササニシキの光修復酵素遺伝子配列全長を、cDNA断片が挿入可能なTi-プラスミドベクターであるpPZP2Ha3に組み込み、このベクターをアグロバクテリウムEHA101に導入した。農林1号の種子からカルスを誘導し、アグロバクテリウムをアセトシリンゴン存在下で感染させた。感染し遺伝子が導入されたカルスを、ベクター上に存在していたハイグロマイシン耐性遺伝子をマーカーとし、薬剤耐性により選抜中である。
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