研究課題/領域番号 |
12480159
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
古市 徹 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90127134)
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研究分担者 |
寺尾 康 (株)クボタ 環境研究部, 課長
石井 一英 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70292050)
谷川 昇 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80343010)
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キーワード | 土壌・地下水汚染 / 調査 / 数値シュミレーション / 修復対策 / データモデル |
研究概要 |
廃棄物起因の土壌・地下水汚染が大きな社会問題となっている。効率的な修復対策を行うためには、適切なタイミングで適切な修復技術を選択することが重要である。そのためには、調査データに基づき、汚染現場の汚染状況を的確に把握し、将来予測を行う必要がある。数値シミュレーションは、そのための一つの手法である、本研究では、3年間の補助を受け、土壌・地下水汚染における修復技術選択のための調査・数値シミュレーション技術の開発を行った。今年度の研究成果を以下に示す。 (1)廃棄物の不法投棄汚染現場(K現場)に対して、昨年度の三次元地下水流れ解析に引き続き、三次元解析汚染拡散解析を行った。これより、汚染現場への三次元解析の適用手順に関してまとめることができた。またK現場は、地下水流れの方向が異なる第1帯水層と第2帯水層の両方で汚染が広がっていることが推測されていた。今回の三次元解析によって、これまでの準三次元解析では把握できなかった第2帯水層の汚染状況を推測することが可能となった。 (2)また、三年間の研究の総括として、調査〜数値シミュレーション(解析)に至る具体的な手順を整理するために、データモデルの構築を行った。データモデルとは、「インプットデータ→作業→アウトプットデータ」を一つのプロセスとして捉え、実際の調査から解析まで手順として複数のプロセスをデータの流れに着目し有機的に結合したものである。このデータモデルによって、調査から解析までの手順が明確になり、誰でも効率的に調査・解析が可能となった。さらに、このデータモデルを利用して、実汚染現場の汚染解析を行った。対象とした現場は、初年度に対象としたA不法投棄現場である。A現場の概略的な地下水流れを把握することを目的とした。データモデルに従ってA現場の地形・地質構造をモデル化し、地下水流れ場の推定を行った。さらに、汚染拡散解析も行った。その結果、A現場の地下水流れが明らかになり、汚染の広がる方向や速度の推定が可能となった。また、遮水壁や揚水井戸を設置した場合の修復効果予測ができることから、具体的に修復技術の選択や設計が可能となる。 以上3年間の研究により、土壌・地下水汚染における修復技術選択のための調査・数値シミュレーションの手順を明確化でき、実汚染現場の修復技術選択を容易にする基盤的な技術として構築することができた。
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