研究概要 |
本研究では、DNA/RNAワールドにおいて特異な機能をもつリボザイムなど各種のRNAやDNA、化学修飾の塩基対形成に及ぼす影響、RNAの特異領域を認識するタンパク質のX線解析によって,機能発現の詳細な構造を明らかにすることを目的として、研究計画に従って着実に進展している。今年度はX線解析の最大の関門である目的分子の結晶化を重点的に行った。その結果、高活性型deoxyribozymeの結晶化に成功し、2000年11月に岡山で開催された核酸シンポジウムで発表した。最小のリボザイムとして設計されたマキシザイムや鉛リボザイム、retro virus HIVのRNAキッシングdimerについても合成し、これらの微結晶を得た。その一部は8月に東京で開催されたRNA学会で報告した。N^4-methoxycytosineを含むDNA12量体のX線解析によって、DNA中のcytosine残基がmethoxyamineによって損傷を受けた場合の突然変異機構を明らかにし、12月に米国ホノルルで開催された環大平洋化学会議で発表した。また、活性酸素によってthymine残基が損傷を受けたDNAについてもX線解析し、8月にフランスのナンシーで開催されるヨーロッパ結晶学会年会で研究成果を発表した。高い安定性を示すヘアピン形DNAの7mer、8mer、9merについては結晶化に成功し、現在X線解析が進行中である。また、そのヘッド部分の塩基配列に変異をかけた8merについても新規の構造が得られつつある。好熱菌Bacillus stearothermophilus由来のロイシルtRNA合成酵素については、発現系の構築中である。Influenza VirusのNS1タンパク質については、そのN末ドメイン、C末ドメイン、NS1とglutathione transferaseとの融合タンパク質の発現系の構築に成功した。
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