立体構造が未知の蛋白質の結晶解析では、それとアミノ酸配列の高い類似性(30-50%以上)のある蛋白質の立体構造が既知である場合、その蛋白質の原子座標をサーチモデルとして分子置換法による結晶解析が可能である。回転・並進関数のためのサーチモデルをプロテインデータバンクのエントリーの中から自動的に複数個構築し、この中から回転関数・並進関数で正解を与えるものを自動的に探し出す。この方法により結晶解析のプロセスを全自動化するシステムを構築、試験し、正しく稼動することを確認した。 平成14年度までは、全自動分子置換法の計算とWEBサーバソフトウェアは、SGI社のUNIXワークステーションOctaneで実行してきた。最近、Linux計算機が安価で高性能のマシンが広く使われるようになっている。分子置換法の計算は計算時間がかかるため、今後の発展のためにLinuxの導入を行った。そのため、全自動分子置換法のソフトウェアをLinuxマシンに移植した。この時、分子モデルのか数値計算等にSGI社のUNIXワークステーションのオペレーティングシステムIRIX固有の各種ライブラリーを多く使っていた。これをLinux用に書き換えた。さらに、Webページのデザインをより便利なものに書き換えた。 以上のようにLinuxでソフトウェアを書き換え、計算スピードが約3倍向上させることに成功した。 データの入力から計算結果の表示までの実行プロセスにおいて各種のオプションを導入し、計算結果の結果を検討しながら実行できるようにWEBページのデザインを変更した。これにより、構造決定の成功率を上げることができる。
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