研究概要 |
N-アセチルグルコサミン6-スルフォトランスフェラーゼ-1(GlcNAc6ST-1)遺伝子をノックアウトしたマウスを作成するため、この遺伝子をヘテロに欠失したES細胞からキメラマウスを作成し、さらに交配してF1マウスを得た。現在、交配してF2のノックアウトマウスを得る途上である。GlcNAc6ST-1, HecGlcNAcST/GlcNAc6ST-2, IGlcNAcST/GlcNAc6ST-3をいずれもプロテインAとの融合タンパク質として生産し、精製した。この特異性をいくつかのオリゴ糖を受容体として比較し、2つの興味ある知見を得た。まず、GlcNAc6ST-1はGlcNAc6ST-2と同様にムチン型糖鎖であるコア2に作用した。このことはGlcNAc6ST-1はGlcNAc6ST-2と同様にリンパ球のローリングに関与することを示唆する。実際、フコシルトランスフェラーゼVIIとGlcNAc6ST-1のコトランスフェクションにより、この細胞層の上で、L-セレクチンを発現する細胞がローリングすることを確認した。またGlcNAc6ST-2は、調べたスルフォトランスフェラーゼの中でムチン型のコア3糖鎖に作用した。大腸の粘液性アデノカルシノーマには、コア3に作用するスルフォトランスフェラーゼが存在すると報告されている。特異性から、GlcNAc6ST-2が、この酵素に対応すると示唆された。実際、GlcNAc6ST-2は粘液性大腸癌の組織に強く発現され、その隣接する正常組織にはほとんど検出されなかった。GlcNAc6ST-1をバキュロウィルスで発現させて精製した。この酵素を利用してオリゴ糖のGlcNAc末端を6硫酸化し、これに作用するガラクトシルトランスフェラーゼのアッセイに利用した。
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