研究概要 |
ミオシンVのプロセッシビティ:基板に固定されたアクチンフィラメントに沿ってミオシンVが1分子で連続的(プロセッシブ)に長距離運動することを明確に証明した。この研究成果を出発点にして本研究は展開された。ミオシンVのプロセッシブ運動の詳細解析:ステップ変位間のDwell TimeのATP濃度依存性を求め、そのヒストグラムを2つの連続反応を仮定して解析した。k_1/[ATP]=0.4s^<-1>M^<-1>,k_2=18s^<-1>を得た。k2はATPase活性1.2s^<-1>/headと大きく異なり、2つの連続反応が、律速であるADP放出、ATPの結合という2過程では説明できないことを示した。単頭ミオシンVの調製と性質:+Ca^<2+>でのProteinase K処理により単頭(S1)を調製できることを見つけ,S1はプロセッシブでないことを示した。双頭HMMのS1からの再構成:柔らかいPEG鎖2本でS1を繋ぎ双頭HMMを再構成し、片方のネック領域のみを蛍光ラベルして、その蛍光輝点の運動を解析した。このHMMはプロセッシブであり、ステップ変位の大きさは約70nmであった。柔らかい鎖で繋がれた2つの頭部は力学的に緩くしか互いを束縛しておらず、前方の頭部の構造変化により後方の頭部は前方に繰り出されるという所謂Swinging Lever-arm説では説明できない。また、ステップサイズは両頭部が跨げる距離(82+36)nmの2倍にはならずアクチンフィラメントの螺旋ピッチにほぼ一致した。高速AFMによるミオシンVのナノ動態撮影:Caged-ATPからATPを放出する前後のミオシンVの動態を撮影し、ATPの放出と同期して頭部がネックとの境界部で大きく屈曲し1,2秒の内に元に戻ることを見出した。アクトミオシンVの撮影では、片方の頭部がアクチンと結合後速やかに変位運動することを見出した。これもSwinging Lever-arm説では説明できない。無生物(ビーズ)の運動:ミオシンVと直径約3nmのビーズが共存すると、ビーズがアクチンフィラメントに沿ってプロセッシブ運動することを見出した。この現象は、ミオシンVが変位するとき片方の頭部(変位する頭部)がアクチンから解離するというモデルでは説明できない。変位する間アクチンと結合したままであることを強く示唆している。
|