多様なランダムポリペプチドを提示しているファージ集団に前年度確立した選択法を行った。そして、得られたファージ集団を大腸菌に感染させ増幅回収し、再び同様に選択を繰り返した。この操作で集団の多様性は失われる。そこで我々が開発したTthポリメラーゼをもちいたランダム変異法を行った。そして、多様性を再増幅した集団で再び選択を行った。 変異と選択のサイクルによって、ランダムポリペプチドの遷移状態アナログに対する親和性が徐々に上がってくると考えられる。よって、各段階のファージ集団より全部で10クーロン程度をランダム蛋白質単独発現用のベクターにクローニングした。それらについて、すべて配列を決定した。その結果、変異率は1世代あたり2-3置換程度であることがわかった。さらに各クローンのアナログに対する親和性は世代が進むにつれて増加傾向にあることがわかった。つまり、人工的なタンパク質進化が進み始めたことがわかった。
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