研究課題/領域番号 |
12480206
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
分子生物学
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
中島 利博 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 助教授 (90260752)
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研究分担者 |
深水 昭吉 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (60199172)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | 転写活性化 / アセチル化 / CREB binding protein(CBP) / 転写統合装置 / RNAhelicase A(RHA) / DNAメチル化 / エピジェネティクス |
研究概要 |
転写コアクチベーターCREB binding protein (CBP)/RNA Helicase A (RHA)複合体は様々な転写因子と結合し転写統合装置として多くの生命現象に関与していることが示されている。 本研究で私達は、同複合体の詳細な転写活性化機構を解明することを目的とした。その結果、 (1)RHAの転写活性化最小領域領域(MTAD)を50アミノ酸に決定し同領域を介してPol IIと複合体を形成すること、その結合および転写活性化にはトリプトファン残基が重要であることを見いだした。また同領域は種を越えて保存された重要な機能をもつドメインであると考えられ、その解析は様々な因子の転写活性化機構の解明にもつながる可能性がある(ArataniらMol. Cell. Biol.2001)。 (2)さらに、本研究ではMTADを介した転写活性化メカニズムの解析を目的としたトリプトファン残基の作用機構の解析 MTDAと結合因子の相互作用および転写活性化におけるトリプトファンの作用機構を明らかにするため、MTDA内のトリプトファンを疎水性のロイシン、ベンゼン環をもつフェニルアラニンにそれぞれ置換した変異体を作製し転写活性化能への影響を検討した。トリプトファンをアラニン、ロイシンに置換した変異体は転写活性化能が低下していたが、フェニルアラニンに置換した変異体では影響が見られなかった。またフェニルアラニンに置換した変異体のみがPol II結合能を有していた。これらのことからMTADを介したPol IIのリクルートおよび転写活性化にはトリプトファン残基のベンゼン環が重要であることが示唆された(ArataniらInternational Journal of Molecular Medicine 2003)。 (3)MTADの個体レベルでの機能解析 MTADの機能を個体レベルで検証するため、RHAのショウジョウバエのホモログであるMLEのMTADを欠失した変異体のTransgenic flyを製作した。MLEは雄の生存に必須であるためnull mutantではホモの雄は致死である。Transgenic fiyを用いて雄の生存能に対するMTAD機能を検討していく(投稿準備中)。 (4)RHA複合体の構成因子としてメチル化DNAに結合し、エピジェネティックに遺伝子発現をコントロールする主要分子であるメチル化DNA結合因子2a(MBD2a)が得られ、RHA/MBD2a複合体の生物学的意義を証明した(FujitaらMolecular and Cellular Biology 2003)。 これらの結果は、RHA複合体の生物科学を越えた普遍的意義を実証したこととなり、今後も同複合体の基盤研究を強く推進していきたい。
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