研究課題/領域番号 |
12480208
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
川上 浩一 東京大学, 医科学研究所, 助手 (70195048)
|
研究分担者 |
近藤 滋 徳島大学, 総合科学部, 教授 (10252503)
|
キーワード | ゼブラフィッシュ / 色素パターン / トランスポゾン / 突然変異 / 皮膚 / 黒色素胞 / キメラ / 移植実験 |
研究概要 |
1、新しい色素パターン変異分離のため、ゼブラフィッシュ挿入変異生成法の開発を行った。Tol2因子プラスミドDNAと試験管内で作成した転移酵素mRNAをゼブラフィッシュ受精卵に微量注入し、Tol2が転移反応によって始原生殖細胞の染色体に組み込まれ、次世代に伝えられることを示した。 2、ゼブラフィッシュストライプパターン形成異常変異hagoromoの解析を行った。新規F-box/WD40リピート蛋白質をコードする遺伝子中へのプロウィルス挿入がhagoromo変異の原因であることを明らかにした。hagoromo遺伝子のマウスorthologは、マウス指形成異常変異Dactylaplasiaの原因遺伝子であった。 3、ゼブラフィッシュの皮膚を走査および透過電子顕微鏡で観察し、皮膚の層構造、それぞれの層に存在する細胞の同定を行った。皮膚は3層からなり、薄い表皮層、コラーゲンと繊維芽細胞からなる真皮層、色素細胞層に分かれる。3種類の色素細胞は、通常真皮と筋肉細胞の間にある色素細胞層にのみ存在し、まだ形態からは同定できない細胞も数種存在していることが明らかになった。 4、ゼブラフィッシュ黒色素胞が位置情報を持つかどうかを調べるため、キメラを使った実験を行った。これにより、黒色素胞がパターン形成そのものには関与しておらず、ほかの細胞の作った位置情報に依存して分化することにより、目に見える模様を作っていることが明らかとなった。 5、パターンを作り出す位置情報が、皮膚のどの部分にあるのかを調べるため、黒色素胞の移植を行った。鱗に散在する樹状の小黒色素胞を皮膚に移植したところ、色素細胞層に存在するような大きな黒色素胞に分化することがわかった。移植する場所をストライプ間の隙間にするとこの現象は見られないことから、黒色素胞が正常な位置情報に反応していることがわかる。
|