研究課題/領域番号 |
12480212
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
桂 勲 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 教授 (00107690)
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研究分担者 |
石原 健 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助手 (10249948)
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キーワード | 行動 / 遺伝子発見 / 線虫C.elegans / 走化性 / 感覚統合 / 連合学習 / 変異体 / 嗅覚順応 |
研究概要 |
本研究は、単純な神経系をもつ線虫C. elegans を用い、遺伝学・分子生物学的手法により、行動の遺伝的基盤を解明することを目的とする。本年度は、以下の結果を得た。(a)合成dauer構成性変異により同定された遺伝子の解析。嗅覚順応に必要なsdf-13(Tbx2ホモログ)遺伝子は約20個の神経で発現するが、遺伝子産物の大部分は細胞資に局在し、AWC神経のみの発現で順応には十分である。sdf-9(Tyr-phosphatase )遺伝子は、頭部の1対の細胞(感覚神経のシース細胞?)で発現する。sdf-14遺伝子は、ABC transporterの1つをコードする。(b)flr-3変異は、脱糞周期異常・成長速度遅延・感覚情報処理異常など多様な表現型を示すが、この変異を抑圧するゲノムDNA断片の)flr-3コード領域の末端にGFPのcDNAを挿入した融合遺伝子は、dominant negativeに働くことがわかった。(c)感覚情報の統合と連合学習に働くhen-1遺伝子(LDLaドメインをもつ分泌蛋白質をコードする)の本来の遺伝子機能を知るために欠失変異を分離した(東京女子医大・三谷、安藤との共同研究)。その表現型は基本的に従来のミスセンス変異ut236と同じだった。(d)ブタノンと飢餓の連合学習の変異体を分離した。これらの研究の他に、既知の合成dauer構成性変異のカスケードを知るためのマーカーを用いた研究等を行った。今後、これらの研窒を基盤として、感覚情報処理を中心に、行動のメカニズムを分子レベルで解明する予定である。
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