CDKインヒビターp27は、in vitroあるいはin vivoにおいて細胞増殖の抑制に中心的役割を果たし、正常発生における器官形成やがんの抑制にも重要な働きをする。p27は多彩な制御を受けるが、細胞周期依存的・基質特異的蛋白質分解機構による制御が注目を集めている。申請者は、Jab1がp27に特異的に結合し、p27の発現レべルを負に調節することを見いだした。p27の分解誘導におけるJab1の生理学的かつ生化学的な機能を研究し、以下の結論を得た。 (1)Jab1の233-242番目のアミノ酸配列の部位に核外輸送シグナル(NES)が存在し、これを介してNESレセプターであるCRM1と結合する。NESに変異を導入したJab1はp27の分解誘導活性が著しく低下していた。 (2)p27にランダム変異を加え、Jab1と結合できないp27変異体を単離した。これらの変異体の配列を調べたところJab1との結合に必須のいくつかのアミノ酸が同定できた。Jab1と結合できないp27はJab1による分解誘導に耐性を示した。 (3)内在性Jab1の大部分は核内に存在し、450-550kDaの巨大なタンパク質複合体を形成している。このタンパク質複合体はCOP9シグナロソームと同一のものである。 また、p27の分解制御におけるCOP9シグナロソームの役割について解析を行うために、PCR法にて単離した哺乳類COP9シグナロソームの8個のサブユニットのcDNAを大腸菌にて発現させ、これらの組み換え蛋白質をウサギに免疫し、それぞれのサブユニットに特異的な抗体を作製した。
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