研究課題/領域番号 |
12480230
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉川 和明 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (30094452)
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研究分担者 |
植月 太一 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (20260309)
谷浦 秀夫 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (80263325)
新延 道夫 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (80135748)
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キーワード | Necdin / ニューロン / 細胞分裂終了 / 神経幹細胞 / 分化 / 細胞死 / ゲノムインプリンティング / 細胞周期 |
研究概要 |
Necdinは神経幹細胞から最終分化したニューロンに発現し、増殖性細胞に強制発現すると細胞分裂が抑制される。また、Necdinはニューロンのアポトーシスを誘導する転写因子であるE2F1と結合し、その活性を抑制する。最近では、Necdinはゲノムインプリンティングによって起こる神経行動異常症Prader-Willi症候群の原因遺伝子の候補となっている。そこで、本年度は、Necdinのニューロンの分化と発達における機能を明らかにするため、神経幹細胞の増殖、ニューロンの最終分化と細胞死への影響、また、Necdin類似蛋白質Dlxin-1(NRAGE)によるニューロン死の分子機構を調べた。1) Necdin 遺伝子を発現しない遺伝子操作マウス(父性対立遺伝子欠損マウス)から調整した神経幹細胞は野生型に比較して増殖活性が亢進していた。2) マウス後根神経節(DRG)ニューロンを神経成長因子で処理をしたところ、最終分化に伴って、Necdin蛋白質が核に集積した。3) DRGニューロンをNecdinのアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理をしたところ、最終分化が抑制され、カスパーゼ3の活性化を伴う細胞死が起こった。4)Necdinと類似する蛋白質Dlxin-1(NRGE)はNecdinと同様に転写因子E2F1と結合して、細胞増殖を抑えるが、Necdinと異なり細胞死を促進することが分かった。以上の結果、Necdinは神経幹細胞の増殖抑制作用をもつこと、また、ニューロンの最終分化と生存に深く関わることが判明した。さらに、Necdin類似蛋白質Dlxin-1(NRAGE)はNecdinと同様に細胞分裂抑制作用を示すが、ニューロン死に関しては、相反する作用をもつことが明らかになった。
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