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2000 年度 実績報告書

社会性昆虫(ミツバチ)の本能行動を制御する遺伝子の同定と機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 12480237
研究機関東京大学

研究代表者

久保 健雄  東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (10201469)

キーワードミツバチ / 社会性昆虫 / 本能行動 / 脳 / キノコ体 / 神経細胞 / 遺伝子発現 / cDNAクローニング
研究概要

ミツバチは社会性昆虫であり、その働き蜂は8字ダンスにより仲間に花の位置を教えるという高次行動を行う。ミツバチの脳では感覚統合や記憶・学習の中枢であるキノコ体が顕著に発達しており、キノコ体を構成する神経細胞(ケニヨシ細胞)は、細胞体の大きさから、大型と小型の2種類に分類されるという特徴をもつ。我々は、ミツバチの高次行動に関わる遺伝子の候補として、大型と小型のケニヨン細胞の各々に特異的に発現する遺伝子(Mblk-1とKs-1)を同定している。本研究では、当該遺伝子のcDNAの単離と解析を行った。
その結果、大型ケニヨン細胞特異的に発現するMblk-1遺伝子は、新規な転写因子をコードすることが判明した。またそのホモログが動物界(線虫、ショウジョウバエ、哨乳類)に広く存在することを見出した。Mblk-1遺伝子の細胞機能は動物種を超えて保存されており、その使われ方が動物の系統進化に伴って変化したと考えられる。昆虫の脳でキノコ体特異的な転写因子が同定された初めての例であり、キノコ体の機能の分子的基盤を理解する上で、重要な知見である。一方、小型ケニヨン細胞選択的に発現するKs-1遺伝子のcDNAは長いORFを含まず、その転写産物(RNA)は核に顆粒状に局在することが判明した。また、ミツバチの頭部で強く発現し、胸部や腹部での発現は弱いことから、神経系に選択的に発現することが分かった。このことから、Ks-1遺伝子産物は非翻訳性核RNAとして神経機能の調節に働くことが示唆される。神経細胞のサブタイプ特異的な核RNAが見出された初めての例であり、RNAの新しい機能を知る手掛かりになると期待される。この他、本研究では女王蜂の脳で選択的に発現する遺伝子Q7を同定し、攻撃性が高い働き蜂(門番蜂)の脳で選択的に発現する遺伝子の候補をdifferential display法で多数、同定した。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Azusa Kamikouchi: "Concentrated expression of the genes for Ca^<2+>/calmodulin-dependent protein kinase II and protein kinase C in the mushroom bodies of the honeybee Apis mellifara L."J.Comp.Neurol.. 417. 501-510 (2000)

  • [文献書誌] Kazuaki Ohashi: "Functional flexibility of the honey bee hypopharyngeal gland in a dequeened colony."Zool.Sci.. 17. 1089-1094 (2000)

  • [文献書誌] Toshimitsu Arai: "Identification,characterization and cDNA cloning of two novel proteins secreted into the extemal space of the regenerating leg of Periplaneta americana."Insect Biochem.Mol.Biol.. 30. 287-295 (2000)

  • [文献書誌] Makoto Shimoaraiso: "Transcription elongation factor S-II confers yeast resistance to 6-Azauracil by enhancing expression of the SSM1 gene."J.Biol.Chem.. 275. 29623-29627 (2000)

  • [文献書誌] Yuichiro Taira: "Participation of transcription elongation factor XSII-K1 in mesoderm-derived tissue development in Xenopus laevis."J.Biol.Chem.. 275. 32011-32015 (2000)

  • [文献書誌] 久保健雄: "ミツバチの社会性をめぐる分子生物学-昆虫の社会性の進化にどのようにアプローチするか-"蛋白質核酸酵素. 45. 1229-1236 (2000)

  • [文献書誌] 久保健雄: "行動の分子生物学 社会性昆虫(ミツバチ)の行動と遺伝子"山元大輔 編Springer-Verlag Tokyo,Inc.. (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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