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2000 年度 実績報告書

視覚の空間情報の脳内再現における前頭眼野領域の役割-MST野活動との比較による解析-

研究課題

研究課題/領域番号 12480244
研究機関北海道大学

研究代表者

福島 菊郎  北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70091486)

キーワード前頭眼野 / 滑動性眼球運動 / 輻輳開散運動 / 視線運動 / サル / 前庭応答
研究概要

前頭眼野が滑動性眼球運動とともに輻輳開散運動にも関与するかどうかを調べるため、ニホンサル2頭を用い、眼前に垂直スクリーンと水平スクリーンを設置し、これらスクリーン上でレーザースポット(視標)を左右上下および奥行き方向に動かし、滑動性眼球運動と輻輳開散眼球運動を訓練した。そのうち一頭のサルで、これまで121個のニューロンを前頭眼野領域から記録した。その内訳は、121個中32個(26%)は滑動性眼球運動のみに応答し、輻輳開散運動には応答しなかった。18個(15%)は輻輳開散運動のみに応答し、滑動性眼球運動には応答しなかった。しかし、大多数の81個(67%)は、両眼球運動に応答し、輻輳運動応答ニューロンと開散運動応答ニューロンの比率はほぼ等しかった。また、奥行き方向の視標呈示を左右どちらか一方に一致させ、他眼のみの運動を行わせると、その大多数は、どちらの眼球の運動に対しても、同様の輻輳あるいは開散応答を示した。さらにこれらニューロンに前庭回転刺激とスポット刺激を垂直スクリーン上に呈示し、眼窩内眼球運動と視線運動を乖離させると、これらは視線運動に対して応答した。以上の結果は、前頭眼野の視線応答ニューロンは、奥行き方向の視標刺激に対しても、視線運動に応答することを示す。最近、GamlinとYoon(Nature 2000)は、前頭眼野では輻輳運動応答ニューロンはサッカード領域よりもさらに吻側部に存在し、滑動性眼球運動ニューロンとは異なるシステムであることを示唆したが、本研究は、前頭眼野ではこの2つの眼球運動サブシステムは独立するというよりはむしろ、共通の神経機構を介することが明らかになった。現在、これらニューロンの滑動性眼球運動と輻輳開散運動に対する応答特性を定量的に比較解析しているところである。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Fukushima K: "Activity of smooth pursuit-related neurons in the monkey periar cuate cortex during pursuit and passive whole body rotation."J Neurophysiol. 83. 563-587 (2000)

  • [文献書誌] Fukushima K: "Cross axis VOR induced by pursuit training in monkeys : further properties of adaptive responses."Arch.it al.Biol.. 138. 49-61 (2000)

  • [文献書誌] Takeichi N: "Dissociation of smooth pursuit and VOR- cancellation in spinocer ebellar ataxia type 6."Neurology. 54. 860-866 (2000)

  • [文献書誌] Fukushima J: "Development of voluntary control of saccadic eye movements. (l) Age- related changes in normal children."Brain and Development. 22. 173-180 (2000)

  • [文献書誌] Fukushima K: "Adaptive eye movements induced by cross- axis pursuit - vestibular interactions in trained monkeys."Acta Oto-laryngologica. Suppl (in press).

  • [文献書誌] 福島菊郎: "視線制御と小脳"神経研究の進歩. 44. 983-992 (2000)

  • [文献書誌] 福島菊郎: "サッケードと追跡眼球運動"朝倉書店(印刷中).

  • [文献書誌] Fukushima K: "Activity of frontal eye movement- related neurons during pursuit- vestibular interactions."Monduzzi Editore. 247-251 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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