研究課題/領域番号 |
12480252
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
黒澤 努 大阪大学, 医学部・附属動物実験施設, 助教授 (60129997)
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研究分担者 |
辰巳 治之 札幌医科大学, 教授 (90171719)
安居院 高志 名古屋市立大学, 医学部, 助教授 (00212457)
真鍋 昇 京都大学, 農学部, 助教授 (80243070)
田島 優 大阪大学, 医学部・附属動物実験施設, 助手 (10227077)
小倉 淳郎 国立感染症研究所, 主任研究官 (20194524)
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キーワード | ネフローゼ / 慢性腎不全 / モデルマウス / TGF-β / α-SMA / HGF |
研究概要 |
初年度の研究目標であるICGN/Nepマウスの病態の特徴が、より精細に明らかにされた。 まず真鍋らのグループは本モデル系統マウスの腎を探索し、本マウスでは細胞外基質とTGF-β,の分布に異常があることを定量的に明らかにした(1)。 さらに同グループは本モデルマウス腎の炭水化物組成をレクチン染色で明らかにした(2)。これはこれまで考えられていた、基底膜の異常が蛋白レベルに止まらず、さらに複雑な異常をも含んでいることを意味し、極めて興味深く今後の詳細な検索が必要である。また本モデルでは細胞外基質が糸球体内、間質内で増加することが知られているが、この病態は細胞外基質を減少させる酵素MMP、とりわけMMP2、MMP9の減少が関与しているがMMP3には変化がなかったことが明らかになった(3)。 また黒澤らのグループは本モデルマウスを用いて慢性腎不全の本態である間質の繊維化ではHGFとTGF-β1の均衡が関係することを発見した(5)。 これは慢性腎不全の内科治療の可能性としてTGF-β1を減少させるためにHGFの発現が極めて重要であることを示している。こうした基礎研究を土台に獣医臨床領域において、ネコ慢性腎不全の予後が腎生検材料のα-SMAにより診断できることが明らかになった(4)。 これにより従来実験動物でのみ可能であった慢性腎不全の解析が獣医臨床領域でも可能であることを示しており、本研究班も獣医臨床領域と提携して研究を推進する必要性があることを示している。
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