・微視的骨構造解析:ウシ大腿骨から切出した皮質骨試験片を用いて、骨内ハイドロキシアパタイトのX線極点図を測定し、結晶配向性を評価した.そして、ハイドロキシアパタイト結晶配向性と巨視的異方性弾性定数の関連性を解析的に検討した. ・皮質骨異方性特性:引張試験と曲げ試験により皮質骨の応力-ひずみ関係を測定し、巨視的な異方性弾性率を検討した.これには、有機成分のコラーゲンと無機成分のハイドロキシアパタイトからなる複合材料で、オステオンを繊維とした一軸繊維強化材料となる。これら巨視的に測定した弾性率を用いて、有限要素法による数値解析で皮質骨の微視的構造との関連性を検討した。これにより、異方性度、ハイドロキシアパタイトとコラーゲンの体積/質量分率、巨視的各方向弾性率、ポアソン比、等が推定できた。 ・X線回折による生体骨内結晶ひずみの精度確認:生体骨を4点曲げ試験装置によって変形させ、その際に生じた巨視的ひずみとX線測定によって得られる微視的格子ひずみの関係を求めた.その際、結晶性の低い骨組織内ハイドロキシアパタイトの格子ひずみを精度良く測定可能な新たな手法を提案した。これは、回折強度ピーク位置のみを利用して回折角を算出する従来方法に対し、回折強度波形全体から回折角(ひずみ)を算出する方法である。これにより、飛躍的に測定精度が向上し、皮質骨の異方性をX線測定で議論可能となった。 ・上記の成果を取りまとめ、骨組織異方性リモデリング応力の測定法を提案し、今後の課題を整理した.
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